コラム

ここ数年、90年代のバンドTシャツ人気が再燃しています。現在流行しているバンドTシャツは、当時をよく知る世代に限らず、年齢や性別を超えて多くの人々の心を動かしています。

では、90年代のバンドTシャツがどのようにして再燃したのか、その過程を見ていきましょう。

1．90年代のバンドTシャツが世界的なブームに！？

1990年代は、ロックやメタル・ヒップホップなど、あらゆるタイプの音楽がヒットした時代です。そして、音楽のプロモーションやファンにむけて販売するグッズとして、ライブ会場でオリジナルのバンドTシャツが売られていました。

音楽にまつわるバンドTシャツは、アーティストはもちろん、音楽をこよなく愛する人々にとっても欠かせない定番アイテムとして広く認知されていきました。

そして現在、90年代に作られたバンドTシャツの人気が再燃したことがきっかけとなって、当時作られたものはヴィンテージ品として、ライセンスを取得したものは有名ブランドから復刻版として再登場するなど、音楽Tシャツ市場は拡大し続けています。

2．音楽Tシャツの始まりは1960年代

いまや、幅広い世代から支持されている音楽Tシャツ。実はその歴史は1960年代まで遡ります。

戦後に急成長を遂げた当時のアメリカでは、伝統などから解き放たれた一部の若者が、作家や詩人の作品に影響を受け自由な生活を求めて、のちに聖地と呼ばれるサンフランシスコに移動して住みつくようになります。

2-1．音楽Tシャツの普及を加速させたグレイトフルデッド

そんな時代に誕生したのが、1960年代～1970年代に活躍したサイケデリックロックバンド、「グレイトフルデッド」です。1965年に結成されたグレイトフルデッドは、伝説的ギタリストのジェリー・ガルシアを中心としたバンド。

ファンが楽しめることを第一に考え、ライブの演奏は即興でおこない、ときにはファンに情報や意見を求めるなど、密接な関係性を築いていきます。

グレイトフルデッドの音楽性や世界観に影響を受けた熱狂的なファンたちは「デッドヘッズ」と呼ばれ、バンドの全米ツアーについていくなど、当時のヒッピー文化を加熱させる象徴的なバンドでした。

2-2．音楽Tシャツメーカーの設立

当時グレイトフルデッドが出演していたサンフランシスコのライブハウスやクラブを経営していたのが、「ビル・グラハム」というプロモーターです。

ビル・グラハムは、グレイトフルデッド以外にも様々なミュージシャンのハンド活動やマネージメントをてがけ、1968年には世界初の音楽Tシャツメーカーの設立に携わりました。音楽Tシャツメーカーでは、バンド活動のマネージメントを依頼されていたグレイトフルデッドに、ライブ用ポスターやプリントTシャツ製作の提案などをしています。

グレイトフルデッドのポスターやプリントTシャツの製作は、サイケデリック界やロック界で大きな注目を浴びていた「リック・グリフィン」がてがけました。リック・グリフィンが製作したグレイトフルデッドのアルバムジャケットは、彼の代表作のひとつとして今も広く知られています。

1971年に発表されたグレイトフルデッドのアルバムジャケットデザインは、スタンリー・マウスとアルトン・ケリーによって共同製作されたものです。のちに、グレイトフルデッドを象徴するデザインとなるスカルとバラのモチーフはこのときに生まれました。

3．デッドヘッズにより飛躍的に発展したバンドTシャツ

ビル・グラハムは、グレイトフルデッドをはじめ他のバンドとも契約を結び、バンドをモチーフとしたオリジナルのバンドTシャツ製作を進めました。そして、バンドはライブ会場でバンドTシャツを販売する、というビジネスモデルが構築され、デッドヘッズたちにも徐々にバンドTシャツが浸透していきます。

その後デッドヘッズは、ブートレグ（海賊版）としてバンドTシャツの自主製作を始め、グレイトフルデッドのグッズとしてライブ会場で販売し生計を立てます。当時は、プリント技術が飛躍的に発展した時代でもあり、タイダイ染めしたTシャツ生地に、シルクスクリーンでデザインを印刷したブートレグのバンドTシャツを製作していました。

デッドヘッズたちにより作られるブートレグのバンドTシャツは、バンドを本当に愛しリスペクトする気持ちが溢れた本格的なものばかり。当時はブートレグがおおむね黙認されていたこともあり、グレイトフルデッドのプリントTシャツやデッドヘッズの働きかけがきっかけとなって、バンドTシャツは大きな躍進を遂げました。

4．音楽Tシャツを通じてコミュニケーションを図る時代の再来

Tシャツと音楽の関係性は、これまでの歴史からもわかるように切っても切れません。90年代のバンドTシャツ人気の再燃もあり、最近は単にファッションアイテムとしてだけでなく、当時のデッドヘッズのように「本当にその音楽アーティストが好き」という思いから、オリジナルのバンドTシャツを着たいという人が増えています。

バンドTシャツは、他のプリントTシャツに比べてデザインが豊富で、プリントされたTシャツが自分の好きなアーティストを周りに伝える名刺代わりとなります。いまのバンドTシャツ人気は、音楽Tシャツを通じてコミュニケーションを図る時代の再来を感じさせる現象です。

今回紹介したように、Tシャツと音楽の歴史を知り、Tシャツに込められたバンドの思いを感じとることが出来れば、音楽Tシャツを着るのがさらに楽しくなり、1枚1枚にもっと愛着を感じるようになるはずです。

プリズマでは、オリジナルTシャツの製作を随時承っています。バンドTシャツの製作も可能です。

オリジナルTシャツをご検討の方は、この機会にぜひご利用ください。
株式会社プリズマのオリジナルTシャツ製作

関連記事：Tシャツの歴史とは？発祥から現在までを解説