用語集

オリジナルTシャツを制作するうえで転写プリントは最重要な手法の一つですが、転写技法の一つにカッティング転写があります。業界的に呼称が統一されておらず、フルカラー転写とか、デジタル転写と呼んでいる業者もいます。海外でも同じように呼称がまちまちですがPRINTABLE TRANSFER VINYLやPRINTABLE HEAT TRANSFER VINYLという風に呼ばれています。このカッティング転写のメリットと限界を説明します。

カッティング転写とは

カッティング転写はポリウレタンの専用メディアにソルベントやラテックスインクジェットで印刷を行います。この専用メディアは印刷するポリウレタンとリケイ紙部分の２層構造になっています。ポリウレタンの裏側はホットメルト樹脂がコーティングされています。印刷後デザイン周辺をハーフカットします。カットの終わったメディアのデザイン周辺の不要な部分をピンセット等を使用して手作業で除去します。このカス取りの後２層構造のポリウレタンの部分を耐熱アプリケーションと呼ばれる粘着性のPETフィルムに移して転写シートが出来上がります。熱プレスを行ってPETをめくると転写プリントの出来上がりです。

印刷メイディアの種類と選択

カッティング転写はボディーの品質や印刷デザインの違いによって数種類の選択肢があります。

・ホワイトタイプ

最も頻繁にっ使用するカッティング転写の定番メディアです。Tシャツやバッグはもちろんですが。低温接着が可能なのでポリエステルのドライＴシャツにも転写が可能です。ナイロンやポリエステルの撥水布については使用が限定的です。撥水処理の弱いものについては使用が可能になります。

・撥水タイプ

見た目はホワイトタイプと同じ白いシートです。ナイロンやポリエステルのジャケット用で、撥水処理のある生地に接着が可能です。低温接着ができないので撥水処理のあるポリエステルについては昇華の恐れがあり、ホワイトタイプ、撥水タイプ両方テストしたうえで選択する必要があります。

・メタリックタイプ

表面銀色のシートです。インクジェットの印刷インクは透明ですのでメタリックタイプシートに印刷することによって着色メタリックの効果が生まれます。ベースが銀色ですので白いシートに印刷するのに比べると印刷の彩度は低めになります。

・ラメタイプ

表面銀ラメのシートです。インクジェットの印刷インクは透明ですのでメタリックタイプシートト同じようにラメタイプに印刷することによって着色ラメの効果が生まれます。ベースが銀色ですので白いシートに印刷するのに比べるとラメタイプ同様印刷の彩度は低めになります。撥水布には使用できません。低温接着ができませんのでドライTシャツにプリントすときは熱板のアタリが残る懸念があります。

・パールタイプ

見た目は白～乳白色のパールカラーのシートです。メタリックタイプ同様印刷することによって着色メタリックの効果があります。メディア自体が白っぽいので印刷しても彩度はあまり影響を受けず、鮮明な印刷が可能です。メタリックシートとどちらを選ぶか悩ましいところですが印刷する色の内容にもよります。メタリック感はメタリックシートのほうが少し強いと感じます。撥水布には使用できません。低温接着ができませんのでドライTシャツにプリントすときは熱板のアタリが残る懸念があります。

・リフレクタータイプ

表面薄い銀色に見えるリフレクター(再帰反射)のシートです。印刷することによってフルカラーのリフレクタープリントが可能になります。メタリックシート同様彩度は低めに仕上がります。撥水布には使用できません。低温接着ができませんのでドライTシャツにプリントすときは熱板のアタリが残る懸念があります。

インクジェットプリンターによる印刷

カッティングシートはインクジェットプリンターを使用してフルカラー印刷を行います。フルカラー印刷という意味はカラー写真ということではありません。単純な１色のロゴから多色を使用した商法や極彩色のイラストレーション、人物、カラー写真の風景等何でも印刷可能ということです。金や銀、蛍光色といったインクはプリンターへの搭載がまだ一般的ではなく、弊社も対応ができません。

カッティングプロッターによるハーフカット

カッティング転写シートは裏面にホットメルト処理がなされたポリウレタンとリケイ紙の2層構造になっています。カッティングプロッターでこのポリウレタン部分のみをハーフカットします。カッティングプロッターは優れた機械ですが繊細なカッティングには限界があります。ここがカッティング転写の弱点で、文字の羅列(コピーライト等)のカット可能が限定的になります。ここをカバーするにはデザイン(カットライン)をシンプルにするかデザインに白縁をつけます。白縁をつけることによってカットラインがシンプルになりカットが可能となります。

不要な部分の除去(粕取り)

カッティングプロッターで行う作業はカッティングシートからデザインを切り出すようなことになります。カットした周辺は不要なのでピンセット等を使用して剥離、除去を行います。カッティング同様文字の羅列(コピーライト等)のピール可能は限定的になります。ここまでの説明でカッティング転写の形状ははシンプルなデザイン、もしくは白縁付きに限定されルことがご理解いただけたと思います。

アプリケーションのフィルムへの移行

印刷、カット、ピールの完了したポリウレタンシートをリケイ紙から耐熱アプリケーションと呼ばれる透明のPETフィルムに移します。作業はラミネーターを用いて行います。ここまでの作業で転写シートが完成します。

熱圧着

完成した転写シートを製品上にレイアウトし、熱圧着を行います。アプリケーションフィルムをピールしてオリジナルカッティング転写プリントの完成です。