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塩化ビニル(PVC)(PVC)
塩ビは正しくは塩化ビニル、英語ではPOLYVINYL CHLORIDE)でPVCとしてもよく知られたプラスティックの一種です。塩ビのパイプやビニルレザーを知らない人はいないと思いますがTシャツプリントではプラスティゾルが塩ビのインクになります。
硬質塩ビと軟質塩ビ
塩ビには硬質塩ビと軟質塩ビがあります。硬質塩ビは水道管や塩ビのパネル、波板、雨樋ダクト等があります。塩ビは可塑剤を加えることにより柔軟性のある軟質塩ビを製造することが可能です。軟質塩ビは非常に幅広く使用されています。私たちがビニルと呼んでいるものの多くが軟質塩ビできています。壁紙、床シート、タイルカーペット、雨合羽、テーブルクロス、ケーブル等数えだすときりがないほどです。
プラスティゾルは軟質塩ビです
Tシャツプリントに使用するプラスティゾルも軟質塩ビのインクです。プラスティゾルも塩ビのパウダーに可塑剤を加え、着色して製造されます。軟質塩ビの特徴として軟らかさを自由に変えられる、着色が容易、透明性に優れる、物理的強度が強い等の利点が挙げられますがこれらの特徴がそのままプラスティゾルの特徴ともなります。プラスティゾルは熱重合型のインクで通常150~170度で効果しますが、熱不足による効果の不足はそのまま選択堅牢性に影響しますので加工所注意が必要です。
ステッカーの素材にも軟質塩ビを使用しています。
ステッカーで使用している透明エンビ、白塩ビリフレクターの素材も軟質塩ビです。
可塑剤とダイオキシン
塩ビは焼却時にダイオキシンが発生するという事で特に日本では塩ビを排除する動きがかつてありました。この時点ではプラスティゾルも同様にいわゆる環境ホルモンとして扱われていました。塩ビは高温で焼却するとダイオキシンを発生しません。焼却設備の古いところではダイオキシンが発生していることになりますが最新の設備の焼却場では発生していないことになります。焼却設備が刷新されるに連れて発生するダイオキシンは軽減されていくであろうことから現時点では大きな問題ではなくなっています。産業界から塩ビ製品を完全になくす事が不可能だという事実も関係しています。プラスティゾルは塩ビ以外に可塑剤の問題も含んでいます。可塑剤とは物質に可塑性を与え加工しやすくする物質です。この可塑剤に従来はフタル酸エステルが使用されていましたが、フタル酸エステルはほとんどのプラスティック製品に含まれている物質です。フタル酸も発がん性があるとされています。これについてもフタル酸フリーの可塑剤への移行が進みほぼ完了しているようです。現在もアメリカのTシャツプリントはプラスティゾルが中心ですが水性を採用する動きもあります。これはTシャツプリントに限らず印刷業界全体で取り組まれている溶剤から水性への動きとも関係します。全体にそういう傾向にあることは事実ですが、環境問題にシビアなヨーロッパでもアメリカ製のプラスティゾルは現在多く使用されていますのでクリアーすべき基準は満たしているという事です。