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特色分解(SIMULATED PROCESS PRINTING)

特色分分解(SIMULATED PROCESS PRINTING)

特色分解(SIMULATED PROCESS PRINTING)は様々な印刷方法がある中で、さらにシルクプリントの中でもTシャツプリンティングにだけ存在するユニークなカラー分解の方法で、ブラックマジックは特色分解の中の特に黒tシャツに特化した分解方法になります。

4色分解と特色分解

CMYK

フルカラーのグラフィックをシルクで印刷するときは通常4色分解を使用します。C(シアン),M(マジェンタ),Y(イエロー),K(ブラック)です。理論的にはこの4色でフルカラーが再現可能ですが、実際には限界があります。特色分解はフルカラーのグラフィックから6~12色程度の必要最小限の色をセレクトし、4色分解とは異なる方法でフルカラーを再現します。使用する機械にもよりますが最大でも12色(掛け合わせを行うこともあります)しか使用できないので元のフルカラーに正確ではありませんが、グラフィック全体として重要でない色が省かれ、重要な色は掛け合わせではない特色で強調して印刷されるため、ポスタリゼーションにも似た効果が生まれます。

階調を持ったアンダーベース

CMYKプリントで使用するインクは透明ですが特色分解ではある程度隠蔽性のあるインクを使用します。隠蔽性があるといってもそのままプリント状態では半透明で発色はよくありません。これを全カラーにわたって調整するためにアンダーベースト呼ばれる白の下引きをプリントします。この下引きがグラフィック全体をカバーする形の白ベタの場合、色の乗り方にメリハリがなくチープな仕上がりになります。

不適切なアンダーベース

そこでこの下引きに階調を持たせます。下引きに階調を持たせることで12色すべてに濃淡を付加することが可能になります。赤のプリント部分があったとすると下引きの白の濃淡で鮮明な赤と黒に近い赤までの諧調が表現できます。

推奨されるアンダーベース

黒いTシャツに真っ白を表現するためにはアンダーベースとハ別にハイライトホワイトを追加することもあります。

ハイライトホワイト

黒をノックアウトする

特色分解は必ずしも黒シャツに行うものではありません。赤いTシャツの場合も青いTシャツの場合もあります。黒以外のシャツと黒いTシャツで異なってくるのは当たり前ですがシャツが黒いということです。シャツが黒なので印刷しない部分はすべて生地色の黒になるわけです。そこでオリジナルグラフィックから黒部分を抽出してマスクデータを作成します。12色プリントならこれに下引き白と、下引きの白だけでは真っ白にならないのでより白くしたいところにはハイライトホワイトを加え合計12色プリントになります。この14版すべてからマスクデータ部分を差し引いてしまい、黒い部分、と黒っぽい部分は生地の黒を利用します。特色分解の中の黒Tシャツの場合のみ可能な手法がブラックマジックです。これによってグラフィックはTシャツに溶け込んで浮き出すように見え、階調ある下引きと、黒のノックアウトの効果で風合いもソフトで自然なものに仕上がります。様々存在するシルクのTシャツプリントですがブラックマジックは間違いなく最も魅力的な手法の一つです。

現在のブラックマジック

Tシャツの本場アメリカでは今も特色分解が行われていますが、現在国内でプラスティゾルの特色分解を継続している工場は少なくなり濃色インクジェットに変わりつつあります。濃色インクジェットのデータ処理と特色分解のデータ処理は共通する項目が多く、ブラックマジックはシルクのプラスティゾルの特色分解から濃色インクジェットに引き継がれたといえます。

ブラックマジックは転写では表現できない

黒シャツにフルカラープリントを行うときのもう一つの選択肢は転写です。フルカラー転写を行うにはカッティング転写とトナー転写の2種類の選択にがあります。それぞれのプリント手法にそれぞれ利点がありますので一概にどれが一番良いとは言えませんがブラックマジックについては転写では表現ができません。転写の場合アンダーベースというものが存在しませんので画像の下にはアンダーベース①同様に転写シートが存在します。当然黒をノックアウトすることもできません。ただ、ベタ面の表現がフラットでバンディングの心配もほぼなく、CMYK部分はより諧調豊かな表現が可能です。